写真、短歌、日々の思ったこと。
--年--月--日 (--) | 編集 |
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2008年05月04日 (日) | 編集 |
 「物語のはじまり―短歌でつづる日常」
 松村 由利子
 中央公論新社
 2007年1月発行
 1890円

 図書館で借りました。
 作者の短歌集ではなく、「働く」「食べる」「恋する」など
 10のテーマで、いろんな歌人の短歌を解説している。
 作者は元新聞記者。
 取材で沢山の人の人生を見てきた観点からなので、
 読みが深い。
 この人の短歌集も読んでみたくなった。

これだけ深い読みが出来れば、もっと短歌を楽しめるんだろうなって、自分の浅さを残念に思う。
さらっと読める本ではないので、読むのに時間が掛かった。
興味のない短歌の説明は、悪いけど飛ばし読みw

「人は、『物語』なしには生きられない。」
これ↑は、この本の出だしの一文。
自分の納得できる物語を見出せないとき、生きるのが辛いのだそう。
そうかもしれない。
ベストではなくても、なんとか自分を納得させることさえ出来れば、そのままゴールまで行けるのだろう。

短歌でつづる日常(色あせた線の上の点に色をつける)というより、日常こそが短歌(線のすべてが色鮮やかなのだ)と思い込むことが出来れば(気が付けば)、もっともっとと求める気持ちは薄れて、苦しむこともなくなるかもしれない。

以下、本の中で紹介されていた短歌の中で、目に止まったもの。



「問ひつめて確かめ合ひしことなくてわれらにいまだ踏まぬ雪ある 小島ゆかり」
これは、夫婦のことを歌った歌だそう。
相手に訊いていない部分、知らない部分のことを”踏まぬ雪”としたところが、キレイすぎて現実味がなく、腹黒い私には「ふーん」って感じなんだけど、ま、いーよ。勝手にやって。(どういうコメントだw)

「君かへす朝の舗石(しきいし)さくさくと雪よ林檎の香のごとくふれ 北原白秋」
これは不倫の歌。
こっちは美しくて構わない。というのは、美しい雪の下に埋めておきたい醜い存在が、必ずあるからだ。
キレイなだけの人間なんて、いるんだろうか?私はまだ、見たことがない。
朝、さくさく、雪、林檎の香、ふれ(降れ)・・・言葉の選択が天才的。
どんな風にその女性を好きだったのか、ド素人の私にさえ分かってしまう。
雪を林檎の香のように降らせてあげたいと思うような。
やるな、白秋。

「馬を洗わば馬のたましひ冴ゆるまで 人恋はば人あやむるこころ 塚本邦雄」
これもすごい歌だ。
この歌とさっきの「君かへす・・」は、たしか俵万智の恋の短歌の解説の本にも載ってたように思う。
馬を洗うならば魂が冴えわたるまで。人に恋するならあやめるほどに。
こういう歌を読む人は、どういう人なんだろうと想像する。
口数は少なそうな気がする。
意外と、これは憧れる理想の恋の話で、本人はほどほどの恋を楽しんでいるのかも、と妄想協会にあるまじき現実的な想像w

「誰(たれ)か来る誰かたしかにこの家へ来るぞと夜の笛吹きケトル 永井陽子」
この歌、好きww
なんでもない笛吹きケトルが、火サスめいている。
子供の頃は、こういう風に気配を作り出してしまい、日常が次の瞬間非日常になることがよくあった。
その頃は怖くて嫌だったけれど。

「分娩の話をすれば箸宙に浮かせて夫は少し怯える 前田康子」
この歌も好き。
私はいじめられっ子だったけど、背中のチャックを開けると実はいじめっ子なので、こういう旦那さんがいたら、嬉しくなってしまうw
箸を宙に浮かせて、「・・・!!」ってなってる様子を見て、『フフ・・・怯えてるw』って心の中で思いながら、自分も怯えている振りをして、「でね、△△で××されるらしいんだよ、怖い~><!!」ってさらに怯えさせて反応を見て楽しむという・・・
「ギャー!」とか「ウワーもうやめってそんな話!」なんて大げさな反応じゃなくて、ちょっと怯えて言葉少なになってるような怯え方をされたら、ギュッとしたくなるかも(笑)。

「おばあちゃんお寺なんてみな嘘ですねミトコンドリア・イブのおばあちゃん 渡辺松男」
なんというタイムリーな歌。
私も今、仏教の思想を勉強していて、お寺に疑問を抱いているのだけれど、でも「あーw、でも嘘って言い切っちゃダメダメよー」なんて思ったのである。
だって、ミトコンドリア・イブが子孫を増やす為に、お寺が功をなしているパターンだってあるかも知んないんだし。

「時間をチコに返してやらうといふやうに父は死にたり時間返りぬ 米川千嘉子」
これは、悲しくて切ない。
チコは作者で、父にそう呼ばれていたのだろうとの想像。
私も、母は死ぬ前にそう思ったのではないかという気がしていた。
「もう心配いらないからね。私のことを看る時間を自分の為に使ってね」
そう言って、そのために、私に時間を返すために死んでしまったのではないかと思った。
「時間返りぬ」確かに時間を返してもらった。
だけど、別に、返して要らなかった。
返して欲しいと思ったこともあったけれど、ほんとは返してなんて要らなかったのに。
スポンサーサイト
テーマ:読んだ本。
ジャンル:本・雑誌
コメント
この記事へのコメント
No title
 >これだけ深い読みが出来れば、もっと短歌を楽しめるんだろうなって、自分の浅さを残念に思う→そんな事ないと思いますけど…
e-348。のーたんのも深くて難しいよ。解説あるけど↓読んでもまだわからないのもあるし。
 って言うか今気が付いた。顔絵文字入力支援だってe-349。いいね&いいね。使いやすくなったずらん。
 
2008/05/04(Sun) 16:33 | URL  | にこまる #-[ 編集]
■にこたん
>のーたんのも深くて難しいよ。

あんまり分かりすぎると面白くないやら、恥ずかしいやらなのでw
顔絵文字入力支援、気が付いた?
にこたんが前に、AUの絵文字が動かなくて分からないって書いてたから。
顔しかないんだけどね。
2008/05/04(Sun) 23:14 | URL  | のさかりう #uv1XZDJs[ 編集]
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。