写真、短歌、日々の思ったこと。
--年--月--日 (--) | 編集 |
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2011年12月02日 (金) | 編集 |
 「利他のすすめ」
 大山泰弘

 WAVE出版
 2011年4月29日発行

障害者雇用割合約74%のチョーク製造会社を作られた社長さんの本です。
そんな稀に見る会社を作るために、本当に大変な苦労をされたと思うのですが、そのへんはさらりと書かれています。
これは、お経とか聖書とか、そういうたぐいの本です(←感想)。
とても綺麗な心の本。

今でこそ障害者に対する意識が少しは変わってきているように見えますが、それでも健常者が障害者に対して”普通”に接するのは難しいと思います。
ましてやこの社長さんが知的障害者の少女二人を会社で引き取ることになったのは約50年前。
今の状況を見れば、当時の障害者に対する視線がどんなものか、想像できそうなものです。

社長さん自身も、知的障害者の少女二人を就職させて欲しいと頼みに来られた養護学校の先生に対して、最初は「そんな、おかしな人を雇ってくれなんて、とんでもないですよ。それは、無理なご相談です」と言ってしまうような、当時で言うごく”普通”の人だったのだそうです。
けどその”普通”ということが自分の”思い込み”であったと気付き、一つずつその思い込みの枠を外すことによって幸せになれたようです。
その”思い込みを外す”ための動機が、社長さんの場合、「利他」であったように思います。

何とかしたいと思う気持ちが、”普通”の枠を外す動機になるのです。
それが「利他」であっても「利己」であっても動機にはなり得るのですが、「利己」ではなく「利他」が動機の場合は何故か多くの協力者が現れます。
大山さんはその波に上手く乗り、「利他」から自分の幸せを得ることが出来た人です。
「情けは人のためならず」の大道を胸を張って歩いて良い人。
大山さんは、協力者が出てこない場合でも、利他を貫けば必ず幸せになれるというようなことも言っています。
たぶん、そのとおりでしょう。

私みたいな利己が服を着ているような凡人にとっては、「利他」は”普通”では難しい。
発想の転換をする本当に大きな動機がなければ徹底することは困難です。
相手の喜ぶ顔とかお礼の言葉とか信頼とか、どうしてもそういうものを少しは要求してしまう気持ちがなくなりません。
”見返りがなくとも相手のことを一番に考えられる自分”に酔い切らなければ、「利他」を徹底することができないと思うのです。

でも、大山さんはそういう小さなブレのことを言っているのではないのかもしれません。
思うに、100%の「利他」は幻想、憧れ。
人には苦しい決断を迫られる時があって、ブレそうになる時が必ずあります。
こんなにしたのにちっとも感謝してないどころか気付いてさえいないみたいだ・・・などと思ってしまった時に、だから止めるのではなく、でも続けるほうを選ぶこと。
そこが大切なのではないかと。

この本は「利他のすすめ」というさらりとした題名で分かるように、さらりとすぐに読める本です。
「利他」の範囲という難しい問題などについては書かれていません。
例えば、ある人にとって有益でも、ある人にとっては害であるということも少なくないこと。
例えば医療革新と人口増加についてなど、利他の範囲を広く、今のことだけではなく将来的にという見方、”有益”や”害”という思い込みを変える、などをしても答えが出ない場合もあることなど。

「難しい問題ではあるけれど、考えることは大切だ」
「みんなが幸せな世界は気持ちよい」
「とりあえず、見返りを要求しないで人のためになることは何かを考えて生きよう」
そういう根本的なことを確認するための本です。
スポンサーサイト

コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。