FC2ブログ
写真、短歌、日々の思ったこと。
2007年03月19日 (月) | 編集 |
「はじめての夜 二度目の夜 最後の夜」村上龍

集英社
2000年1月発行
420円

全然興味がなかった作家さんだったのですが、TVで見てこの人、なんかやな感じっていう印象を受けてしまいました。

私は好きな人にはすごく興味があるけれど、嫌いな人にも結構興味があるw。
・・・ので、図書館で借りてきました。
たくさんの本の中からこれを選んだのは題名が気に入ったからです。

主人公の男性が、中学生の時の初恋の女性に23年ぶりに会うというストーリー。
合計3回のディナーのメニューが小説の小題になっています。
その料理の説明と描写が細かで、食いしん坊で妄想狂の私にはたまりません。
例えば、
「バイヨンヌ産ハムとメロンの黒ゴショウ風味」。
「メロンのフルーティーな香りと生ハムのスモークされた薫りが混ざり合い、そのハーモニーを味わう一品。さらに、黒ごしょうのすりつぶしたものを加えることで、一味違った風味が引き出される」。

メロンの甘みと生ハムの塩味に加えて黒ゴショウの辛さが弾け、口の中に風が起こったような感じがした。
--そしてその風はざわついている神経をさらに振動させ、まったく突然に、すべての感覚が中学時代のある日に戻っていくのがわかった。
上の文章は、はじめての夜の最初の料理。
素晴らしい現実に生きる主人公の、ぼんやりとしていた中学時代がこの料理によって目を覚まします。

この村上龍さんという人は、料理は作らないようですが、すごいですね。
もともと私は「物を食べる」ということを、特別な行為であると思ってはいたのですが、これほどまでとは思いませんでした。

それが一緒に食べたい人との食事であればあるほど、素晴らしい料理であればあるほど、完璧に、言葉は力を失う。
素晴らしい景色を見ても、芸術を見ても、音楽を聴いても言葉を失うことはあると思いますが、料理を味わって食べるということはそれらとは少し違い、なんていうか、とてもセクシーなことなんだって感じさせられました。

村上龍さんはそれを文章にし、伝えられるというのがすごいです。
やな感じって思ったのは、私が第一印象を見誤ったみたいです。
偉そうって思ったけれど、なかなかすごい人でした、ごめんなさい。

この人は村上龍料理小説集という短編集も出しているようなので、是非読んでみたいと思いました。
スポンサーサイト




コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック